マンマシンインターフェースについての提言(エレベーター篇)


マンマシンインターフェースと言ってわからない人いますか。簡単に言っちゃえばある機械の操作方法が人間にとってどれだけわかりやすいか議論するときに使われる言葉です。(以下MMI)
昨今、いろんな電気製品にマイコンが搭載されて、ボタンでピッピッ、みたいな感じになっちゃってますけど、今から思うと昔の製品って実に使いやすかったと思います。テレビ、ヒーター、電気ポット、レンジ、扇風機などなど、昔の製品はダイヤルとスイッチがあってガチャガチャって動かしてそのとおりに動く小気味良さがありましたね。
じゃあ、今の製品もそうしろって言われるかもしれないけど、一技術者としては、それが不可能な理由も良く知っています。例えば、なんでガチャガチャスイッチがないかというと、コストが高いからです^^;。小さくて押すだけのスイッチと、今どのスイッチが選択されているかを示すためのLED(赤いランプ)の組み合わせを使う方がデザイン的にもコスト的にも非常に有利なんです。
それから、競合他社との差別化のためにたくさんの機能を入れなきゃいけないのですが、その分全部スイッチを付けたら逆に誰も買ってくれないので、スイッチをしまったり、一つのスイッチに複数の機能を与えたりします。
だから、せめてピッピッのスイッチを使っても感覚的に分かりやすいMMIにする必要があるわけです。

で、なんでこんなことを書き始めたかというと、さっきエレベーターに乗っていてこうしたらいいんじゃないか、というのを思い付いたからなのです。
みなさんは、エレベーターに乗っていて、「開ける」と「閉じる」を間違って押してしまったりとか、とっさのときにどちらを押すべきか迷ったりしたような経験はありませんか。
エレベーターのボタンは技術者に言わせても、非常にシンプルだし、かつ誰にでも理解可能なようになっています。が、こと「開ける」「閉じる」に関しては、誰もがスイッチの意味することが分かるゆえに、逆に使いやすいようになっていない、と私は思うのです。
一つには、これらのボタンの表示や配置方法に原因があります。漢字で書くとよくないことに「開」「閉」って非常に見た目が似ているんです。とっさの判断にはとても困る。また記号で例えば「《--》」と「-》《-」みたいな絵がありますが、これもわかりやすく書いたつもりなのに、一瞬では何故か分かりづらい。さらに困ったことに、これらのスイッチは左右対称にきれいに並べて配置されているのです。
もう一つ、この二つが分かりづらい理由として、「開ける」「閉じる」が、機能としては非常に並列的な関係にあるのに、実使用上では使う用途が必ずしも対称になっていない、ということがあるのではないでしょうか。例えば、とっさの判断で操作したい(非常に高いリアルタイム性を必要とする)ボタンは「開ける」だと思います。エレベーターに乗るために向こうから人が走ってきたら、やっぱり「閉める」を押す薄情な人はいないでしょう。逆に、「閉める」は必要な出入りが終わったのに扉が閉まらないのを、手動で行うためのスイッチです。だから、瞬時に押さなければいけないスイッチではありません。

これは全て、作り手側が「開ける」「閉じる」のドアの動作を理解してもらいたいがために、敢えてこの二つを対称的に表現している事に原因があります。
そこで私の提言。
まず、二つのスイッチは左右でなくて上下にします。上は「開ける」です。
それから、二つのスイッチの大きさを変えます。「開ける」を大きくします。もちろんメーカーとしては、他のスイッチとの形状が変わるのでコストがかさみますから、あんまりこれは好まざる選択肢となるでしょうが。
ただこれだけで、エレベーターは随分使いやすくなると思いますが、いかがでしょうか。


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