今年の合唱コンクール課題曲(99/2/28)


今年の合唱コンクール課題曲となる合唱名曲シリーズNo.28が合唱連盟から送られてきました。もちろん、その中の一曲が私の曲なので、連盟から出来立てのものを特別早く送ってくれたわけです。
知らない人がいるかもしれないので簡単に説明しますと、毎年秋に行われる全日本合唱コンクールに参加するのに、各団体は自由曲と課題曲を演奏しますが、課題曲はこの名曲シリーズから選ぶことになっています。この楽譜集には混声、男声、女声がそれぞれ4曲ずつ、計12曲が収められており、それぞれの4曲とはたいてい、ルネサンス・バロック、ロマン・近代、邦人ピアノ伴奏、邦人アカペラ、というようなジャンル分けがされています。私の公募作品は混声の4番目の曲(G4と呼ばれる)となるわけです。
この課題曲集には、毎年のように私の周りの人から文句が出ます。「これじゃ選びようがないよ」っていうのがほとんどの意見ですが、確かにいろいろな合唱団の特性をこの4種類に押し込めるんだから、もちろん無理が出て当然でしょう。例えば、邦人作品を嫌う小人数合唱団において洋物の課題曲がとてもたくさんの人数を要求するような場合、どれも選べなくなってしまいます。編成の問題で言えば、例えば、混声で女声が多い団の場合、男声3パート女声2パートという曲はバランス的につらいです。編成以外の問題としては、どうしても作曲された時代によって曲の難易度にばらつきが出てしまい、結果として多くの団体がルネバロに逃げ込むことも珍しくありません。
まあ、これらの問題を承知の上でコンクールに出るわけですから、結局はどれかの曲を選ぶことになるのですが、毎年のように課題曲について云々することも、また合唱愛好家ならではの楽しみであったりします。

今年の面白い点は、混声において邦人曲が二つともアカペラである点です。私の曲がアカペラで、通常ならもう一つはピアノ伴奏になるわけですが、もう一つもアカペラに決まりました。近年、合唱のトレンドが急速にアカペラを指向するようになり、アカペラの少ない邦人曲があまり歌われなくなったように思いますので、そういった世の流れを反映しているのかもしれません。ただ、2曲ともかなり長い曲なので、自力のない合唱団には、つらい選択になるでしょう。私としては、自分の曲がアカペラということで差別化されると思っていたので、本来邦人アカペラを歌おうと思っていた団体が、別のほうを選択するかもしれないということで、ちょっと残念だなあと感じているところです。
さて、私と一緒に朝日賞を受賞した、内野さんの曲も始めてその楽譜を見ることが出来ました。
なかなかやってくれますねえ、この曲。なんと3群の女声合唱(ソプラノとアルトのペアが3セット必要)で、いきなり舞台配置まで指定されています。いたるところに見慣れない線や標語が書かれていて、ちょっと前衛的なノリ。しかし、よく見てみると、音程的にはそれほど難しくなさそうで、空間的な音の広がりの面白さを追求している、なかなか興味深い作品でした。こういうの、結構コンクールでは歌われそうです。
とにかく、今年は個人的に面白いコンクールになりそうです。たくさんの合唱団にG4「だるまさんがころんだ」を歌って欲しいですねえ。


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