民生品としてのパソコン(00/6/18)


CD-Rが故障して、焼けなくなりました。ただいま修理中。
しかし、なんでこうパソコンというのは信頼度が低いのでしょう。ここ数年のインターネットブームでかなりの人がパソコンを持っていると思われますが、多くの人が何の障害もなくパソコンライフを満喫しているとはとても私には思えません。
CD-Rに限っていえば、多分ほとんどの人が導入してから一回でうまく焼けていないと思いますし、未だにうまくいかない、と悩んでいる人の話を良く聞きます。多くの場合、ドライブへの転送速度が問題らしく、SCSIかATAPIか、あるいは常駐ソフトやスクリーンセーバーが問題だとか、いろいろ話を聞きます。ただ単にCDを作りたいと思っているだけで、パソコンについて詳しくない人は、そういう情報を聞くだけでもうめげてしまいます。私など技術者でありながら、なるべく余計なことを覚えたくないという人ですから^^;、その気持ちはとても良くわかるのです。
もちろん、CDを作りたいというニーズが多いからこそこれだけCD-Rがはやるのだし、メディアや関連商品も売れるのでしょうけど、出したもの勝ち、安いもの勝ちみたいな感じで、実際にひどい目にあっているのはやっぱり末端のユーザーではないでしょうか。
世の中にある電気製品の中でも、現在のパソコンの品質は桁が二つくらい違うほどひどいものだと思います。いくらメーカーが最近のパソコンはわかりやすくなった、などと言っても、実際には良く使われるパターンだけをわかりやすくしただけであって、そのパターンから外れるや否や途端に迷宮の扉を開けることになります。

しかしこの品質の低さは、メーカーがまじめに作っていないからではないと私は思います。そもそも、日本のパソコンメーカーはほとんどが民生用の電気製品を出しているメーカーでもあるわけですから。
では、この扱いにくさ、この品質の低さは何だろうと考えると、いくつか理由はあると思います。
一つには、パソコンが汎用的な機能を売りにしており、特定の用途に使おうとすると、複数のメーカーにまたがって製品を使用しなければいけないということがあるでしょう。全部同じメーカーならクレームを出せばそのメーカーは対応せざるを得ないですが、たとえばCD-Rなら、パソコン本体、CD-Rドライブ、OS、書き込みソフト、CD-Rメディアなど少なくとも5つくらいのメーカーの製品が絡んできて、「CDを焼く」という操作に対して総合的に責任を取ってくれる人がいないのです。ある程度、知識があればどの部分に問題があるかはわかるでしょうが、何もわからない人だったらたかだか修理を依頼するだけでもたらい回しされかねません。また、そういうユーザーの実態に対して、メーカー側の相談窓口の体制も十分とは言えないし、また十分にはなり得ないとも思います。パソコンのトラブルに対してどこが悪いか判断し適切な処理をしてくれるようなサービスをする商売って儲かるかなあ、なんて考えたこともありますが、普通の民生品ならただで直してくれるところを、有料であったり、また保守料を取ったりなどというのは、一般の人にはまだまだなじめるものではないかもしれませんね。

もう一つパソコンで思うのは、現在のソフトがあまりに機能が多すぎるという点です。誰でもプロ並みのツールが手に入るというのは嬉しいことのように思われますが、なぜプロはプロ足り得るのかと考えれば、何を意味しているかもわからない機能が山ほどついていることにどれだけのユーザーが満足しているか疑問を感じてしまいます。プロを満足させるような機能をつけることと、普通の人が普通に使えることを両立させるのは大変難しいことです。プロの望む操作感と初心者が判り易い操作感は当然違うものだと私は思うからです。
でもこの件は、メーカーの問題だけではないかもしれません。自分にもプロと同じような才能があるという幻想にとらわれた人を相手に商売する以上は仕方のないこととも思えます。



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