夢を見ることと夢を実現する力(00/5/7)


それぞれのジャンルでその道を極めた人が、若者に対して「夢を持って生きていくことが大事だ」なんてよく言いますね。まさにそうでしょう。彼らは自分がそうなりたいことを強く思い描いて、現在の地位を得たのですから。最近はテレビでも視聴者参加型のバラエティ番組が増えてきて、そういった若者の夢をかなえてあげるような企画がよく放送されています。それ自体は、確かに小さくてたわいもない夢かもしれないけど、自分の想う力で夢を実現できるという成功体験が、それを見ている人にとても心地良く感じられるのです。出演者が素人くさいからこそ、等身大の自分の夢と重なり合うことができるのでしょう。そして、番組に出ているタレントのコメントも、「夢を持って生きていこう」と人情的に訴えるのです。

しかしその一方、昨今の少年犯罪の内容のクラさ、言い知れぬ恐怖感はいったい何だろうと思います。
こういった犯罪が起きるたびに、教育の在り方、子供の育て方、果てはそれを反映しているであろう大人の社会の在り方などいろんな議論が巻き起こります。そして、その度に言われる「個性を育てよう」「一人一人が夢を持って生きていこう」という言葉が私の頭に空虚に、そして偽善的に響いてしまうのです。
無論、このような大問題に対して私ごときが結論を出せるわけもなく、ただこうやって漠然とした不安を言うことしか出来ません。

ただひとつだけ私が感じていることがあるのです。それは、夢を実現させるための狡猾さが多くの人に足りないのではないか、ということです。成功した人は、自分の成功体験を心情的な部分でしか語りません。曰く「そうありたい、と強く思うことが大事」という感じ。それはもちろんそうなのです。だけど人の思いを計測することは出来ないわけで、ゆえに思いの強さと成功度との相関関係を証明することは出来ません。ならば、夢を現実にするためには、現実的な問題を処理する能力をもっと高めなければいけないと私は思います。
そういった能力が弱いからこそ、簡単に挫折するし、挫折してもその理由を分析できないから、不満のはけ口が反社会的な方に向かうしかないんじゃないでしょうか。それに対して、依然「夢を持て」と言い続けることは火に油を注ぐような感じさえしてしまいます。
私は、人間というものは誰に言われなくたって夢を持っているものだ、と考えます。でなくちゃ生きていたって面白くはない。「夢を持て」などは言うまでもないことで、だからこそ、それぞれが自分の夢を実現するために、必要な知識、力を自分で手に入れようとする、そういったことに一人で対峙できるような態度を育てなければいけないと思います。
また多事争論化してしまいました^^;。でも最近はそんなに悲観論者ではないんですよ、私は。



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