プログレ讃(00/4/2)


自分が昔はまったもの紹介シリーズです。
大学時代から就職してしばらくの頃(90年前後)、プログレにはまってました。
そもそも、私はあんまり洋楽を聞かない人で、ポップスも基本的には邦人モノばかり聞いてました。そんな自分にとって初めて興味を持って聞こうと思った洋楽がプログレだったのです。ちょうど自分の中の音楽趣味がどんどん膨らんで、いろいろな刺激物を取り入れたいと思っていたころと非常にシンクロしているわけです。
さて、プログレって何?と思う人もいるでしょうから、自分なりに思いを込めてその魅力などを紹介してみましょう。
時代は1960年代末から70年代の前半にかけて、ビートルズ以降の新しいロックのあり方を求めた先進的なムーブメントがイギリスに起きました。これらはまとめてプログレッシブロックと呼ばれるようになりました。代表的なバンドは、キングクリムゾン、ELP、ジェネシス、イエス、ピンクフロイド、といったところです。これだけ聞くと、知ってる人も多いかと思います。ジェネシス、イエスなどは80年代になってからも、ポップ色を強くしてヒットしましたし、ピンクフロイドも随分長い間独自の活動をしていました。この他、上記のバンドの影響を受けた様々なプログレのアーティストもいるらしいのですが、私は実はあんまり知りません。私がひたすらはまって聞いていたのは、キングクリムゾンとELPだったからです。
プログレの特徴は、といっても一言では言い表わせませんが、プログレッシブですから、先進的であるということが大きなキーワードなのです。具体的に挙げてみると、音楽的には、変拍子の多用、曲の構成が複雑、曲が長い、組曲になっている、近代クラシック曲の影響を受けている、演奏者のバカテクが売り物、当時の最新の楽器が使われている、といったところでしょうか。もちろん、先進的というのは音楽に関することばかりではなく、例えばアルバム全体がコンセプチュアルであり、その内容も哲学的、内省的、退廃的なことが特徴です。もちろん、そのあたりはそれぞれのバンドによっていろいろ持ち味があるわけです。

上にも書いたとおり、私はキングクリムゾンとELPが好きでした。特にキングクリムゾンは、その音楽世界が結構退廃的で、他のバンドが割とテクニック追求に走っている中、自分の感性に直接訴えかけてくるものがあったように思います。その世界のメランコリーと、音楽の実験精神のバランスがちょうど自分にぴったりきたと言えるでしょう。これがもう少し、感傷度が高くなると、ピンクフロイドになるし、逆に音楽の緻密さが高くなるとELPやイエスになるのかもしれません。
そのためか、キングクリムゾンはバカテク度が低く、むしろ音楽的実験度が演奏よりも曲作りそのものにあり、絵に書いたような変拍子や露骨なクラシックの影響が目立つのです。またアルバムの中には必ず感傷的なメロディを持った佳曲が入っていて、その魅力も忘れがたいところでしょう。ただし、クリムゾンは70年代の後半くらいから、バカテク度が高くなりフュージョンバンド化していきますが、その辺からは私も詳しくはないし、もう私の欲した世界ではなくなりました。(もちろんリアルタイムで聞いたわけではないですけど)

余談ですが、昨年の課題曲になった拙作「だるまさんがころんだ」の10/8拍子ですが、今考えるとこれはキングクリムゾン「太陽と戦慄」のエコーですね。このリズムは、まさに「太陽と戦慄」の10拍子そのものなのです。ジャーラジャーラジャラジャラ、ジャーラジャーラジャラジャラっていうリズムなんですが、分かってもらえるかな。あまりにも曲のイメージが違うのが笑えますが、こうやってプログレも私の血と肉になっているわけなのですね。



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