デモテープを作っていたあの頃(99/12/12)


昔録音したDATの音が最近おかしくなりはじめました。再生途中で、急にピーーガーーとかいい始めるのです。これは明らかにデジタル信号が落ちています。
DATを買った頃は、デジタルは絶対音質が落ちないからこれで永久保存だと思ったのですが、10年ももたないとは...。デジタルで信号がちゃんと取れないと音が完全に破綻するので、これではアナログテープのほうがよっぽどましです。最近まじめにCD-Rの導入を考えているところ。しかし、CD-Rで焼いたCDも経年変化があると聞いたことがあるのですが、いったい本当のところはどうなんでしょう。

そのためにDATを買った頃に録音したテープをちょっと聞いてみました。残念ながら、どのテープも何回か飛んでしまいます。
まあそれはしょうがないのですが、もう10年以上も前に録音したテープを聞いてなんとなく思い出に浸ってしまいました。
聞いたテープといっても昔レコードとかをダビングしたものではありません。自分で生録音したものです。以前、合唱曲を作る前はポピュラーっぽい曲を作っていたと書きましたが、聞いてみたテープは自分が大学の頃から多重録音して作ったオリジナル曲のデモテープです。
それにしても多重録音なんていまどきは死語かもしれません。今ならDTMなどといって、音源とソフトがパッケージになったものを買ってくれば、10年前をはるかに凌ぐ音質で音楽が作れます。MIDI音源がなくても、ハードディスクレコーディングも一般化してきました。多分、もう10年経てばプロの世界の音楽制作さえほとんどパソコン上だけで可能でしょうね。
さて、それはともかく、今から10年前にオリジナルのデモテープを作るといったら、やはりMTRです。MTRとはマルチトラックレコーダーの略で、普通のカセットテープで4トラックのミキシングが出来るカセットレコーダー。今なら5万円くらいで買えるでしょうか。もちろん、4トラックではドラム、ベース、ボーカルとあとコード楽器くらいしか入らない(しかもモノラルで)。もちろん、ピンポンという方法で、順々にミックスしていく方法もありましたが、音質が落ちるし、結局最大7つのパートしか入れられないんですね。
実は私が大学生の頃はすでにMIDIシーケンサというのがあって、私はMTR、シンセサイザー、リズムマシンの次くらいにそれを購入。MIDIシーケンサーとはMIDI端子のついている電子楽器を自動に演奏できる装置です(うーん、分かる人にとっては当たり前のことだけど、どのレベルまでの読者を対象にしていいものか^^;)。まずこのシーケンサーからの同期信号をMTRで録音。それ以降は、MTRを再生するとそれに合わせてシーケンサーが動き出します。リズムマシンはシーケンサが毎回動かせるので、MTRには録音せず。この同期信号だけで1トラックを使ってしまうので、残り3トラック。この残りのトラックに、ピアノやらストリングスやらをピンポンを使って録音。最後の1トラックにボーカルを入れます。
今考えると相当貧弱な環境で、またこのとき入れた歌が耳を覆いたくなるくらい下手なんですね。だいたいボーカルを入れるといったって、安アパートの一室で歌うわけで、やっぱりちょっと周りが気になっちゃう。大体歌っていうのは恥ずかしがって歌うほど下手に聞こえるのです。誰もいない自分の部屋で「その気」になって歌を歌うのは結構大変なことです。
しかし、何度もやってくると慣れが来るのか、隣の部屋も気にせず恥ずかしい歌詞を大声で歌えるようになりました。自分自身を「その気」にさせるために、歌を入れるときは必ずカーテンを閉め部屋を暗くします。ヘッドフォンからのモニター音もなるべく大きくします。後で聞いた話ですが、アパートの隣の人は結構迷惑がってはいたようです。(ちなみにそのアパートは学生専用でした)
その後、MIDI音源を買い足したり、エフェクターを買い足したりして、それなりのクオリティで録音できるようになりました。ただ、音のクオリティは良くても、今聞くとアレンジはめちゃくちゃですね。コードは結構凝っているのに、ベースパターンとかリズムパターンとか、今思うともう少し勉強しておけばよかった。どちらかというと音楽的にはコードワークの方ばかり目がいってしまっていたので。

テープを聞きながら、シーケンサに打ち込むために作った楽譜も引っ張り出して見てみました。変なところで几帳面な私は、1曲ごとに五線譜を束ねて色画用紙で表紙をつけたりしてました。こんなこと書いてたんだなあ、と思いながらもやっぱり今の自分に通ずる部分もあって、三つ子の魂百まで、と思い知ったところです。



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