デザインの日産(04/10/10)


昨年、新車を買った話は、ここここで書きました。
車を買うときはもちろんいろいろなことを検討して車種を決めるわけですが、買ったことをきっかけに、その後も車の新車情報などがやけに気になってしまうというのは良くあることです。
日産車のオーナーになったからかどうかはわかりませんが、最近はかなり日産贔屓。国産自動車メーカーの中で、日産の車だけやけに垢抜けて見えるのは私だけでしょうか?

よほどのカーマニアでなければ、いまどきの車にエンジン性能やら、コーナーリング性能の違いを求める人はそれほどいないでしょう。というか、語る人は多いけど、それが購買行動までは結びつかないのだと思います。実際には、スペースユーティリティや使い勝手、デザイン、車全体が醸し出す雰囲気のようなもので車種を決めているのでしょう。車というと高い買い物ですから、人々は慎重になる。そこでどんな車を選ぶかは、ある意味、その人の嗜好性を非常に良く表すものとなります。
私は、結局、見た目のデザインに惚れてプリメーラにしたわけですが、そういう感性の人から見ると、今の日産のデザインって今までの国産車のイメージとは一線を画していて、工業製品のデザインとしてどれも素晴らしいものに感じます。

プリメーラはもちろんのこと、日産の伝統の車種、スカイラインもかっこいい。もうちょっと歳を取っていてお金があれば、これでも良かった、と思う車です。それから、恐らく自分では買わないようなスポーツタイプですが、フェアレディZとか、最近出たムラーノなんかも、近未来イメージの車がそのまま飛び出てきたような感じで、思わず見とれます。マーチやティーダのようなコンパクトカーでも、どこか一皮向けた洒脱さを感じます。
全体的なイメージとしては、ボディー全体が丸みを帯びているのが特徴でしょう。サイドも平坦ではなくて、必ずデザイン的に何らかの処理をしてあります。ヘッドライトやテールランプも取ってつけたような真四角でなく、車の丸みの流れと一体感を持たせていて、デザインの統一感の引き立て役になっているのです。
このデザインの印象は、ヨーロッパ的、とりわけフランス、イタリアの南欧的なイメージです。そう考えてみると、最近の車種のネーミングは英語からイタリア語っぽくなっていますね。ティーダとか、ムラーノとか、フーガとか、プリメーラとか。イタリア語なら日本語との相性もいいし、英語よりエキゾチック感があるのかもしれません。フランス語だとちょっと嫌味になりそう。

しかし、こういった価値観が日本市場において無批判に受け入れられているわけではないでしょう。
上のような丸さは、スペースユーティリティの悪さや、運転時の視界の悪さを引き起こします。どうしても、車体全体が大きくなってしまい、コンパクトでかわいらしさを求める日本人にはちょっと合いません。日産で今最も売れている車はキューブで、そういった日本人の心理にフィットしているのでしょうが、上のようなラインナップとは明らかに異質なデザインです。
これまでヨーロッパ車に乗りたいと思っていた人たちをどれだけ引き付けられるかが日産の勝負のしどころでしょうが、外車であること自体に悦びを見出している人を振り向かせるのは無理でしょう。そういう意味では、日本人にヨーロッパ的感性の工業デザインが受け入れられるかどうかが、今後の日産の浮沈を左右するのではないでしょうか。

最近だと、マツダなんかもヨーロッパ的なものを意識してますね。どの車も同じ顔をしているという戦略は、日本メーカー的発想じゃなくて、一本筋の通ったものを感じさせます。



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