デジタルコンテンツのゆくえ その3 -他人のふんどし篇-(03/11/15)


だいたい私が、全てのデジタルコンテンツがいずれタダになる、などと言っているのは、単に無責任な思考実験をしているに過ぎません。当然ながら、私などより何十倍も真面目に、しかも現実的にこの問題に対峙し、そして何らかの方法を考え出している人たちがいます。
たまたま、ネット上でいろいろ面白いページを見つけたので、その紹介と感想など書いてみましょう。

一つは、新しい著作権のあり方について、以下のページで提案がされています。
OPENCREATION
私などのように、思い付いたままをただ書き流しているのと違って、それをきちんと体系としてまとめ上げ、活動をしようとしているのが素晴らしい。
内容的には、私のような草クリエーターの視点が大きく反映されているのにとても共感できますし、私が以前書いたLinuxのGPLのようなオープンソースの考え方に影響されている点も納得できます。つまり方向的には、私がこれまで思っていたこととかなり近いものなのです。
ただ率直に言うと、真面目に考えすぎていささか難しくなっているのがちょっと難点。また、大きな組織がバックについているわけではないので、大きなムーブメントにまで発展するのは厳しいかもしれません。
それにしても、多種多様なクリエータのあり方に対して、自分の著作権をきめ細かにコントロールしていくという発想は、現実と理想の橋渡しをするのに有効な考え方かもしれません。

もう一つ、著作権ベースの商業主義的なコンテンツビジネスに限界を感じて、新しいタイプのクリエータのあり方について提案している文章を見つけました。
ITビジネス原論
このページは全体の一部なので、興味のある方は他の文章も読んでみてもよいでしょう。やはり専門家の意見というのは、実に鋭いですね。こういう文章を読むと、私の考えていることなどせいぜい入り口どまりで、もっと現実的な解について、社会の様々な状況を考慮した鋭い提言というのがあるもんなんだなあ、と実感。
この人の他の文章を読むとわかるのですが、物の価値というのは、このネット時代には、人、場所、時間によってかなりダイナミックに変わりうるという考え方が前提にあるわけです。
つまり、人によってはタダであり、人によってはお金を払ってもよいということがあり得るのです。一見、同じものならタダの方が得じゃないの、と思うかもしれませんが、投資という観点でみるなら、そういうこともあり得るのかなと私には思えます。

あまりに多くの問題に頭を抱え、将来に対して悲観的になる人もいる反面、新しい価値観や仕組みを考え出し、より良い未来を模索する人たちもいます。結局は、次の時代を読むだけの賢さが、一人一人に必要とされるそういう世の中になっていくことは確かなように感じられます。
著作権も、市場主義的な商売のあり方も、未来永劫変わらないわけではないわけで、今の時代あるいは将来に必要な仕組みというのは、私たちも常に自問し続ける必要があると思います。



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