宝塚のコンクールに参加 その2(03/7/27)


今年、第20回記念となる宝塚国際室内合唱コンクールが26、27日と宝塚ベガホールで開催されましが、このコンクールに図らずも2年連続で参加することになりました。昨年の様子はこちら
とはいっても、去年はYAMAHA Chamber Choir の一員として、そして今年はムジカチェレステの一員としてです。しかし、昨年同様、全く太刀打ちできずに私たちは残念ながら賞外。銅賞くらいでも引っ掛かれば嬉しかったのだけど、これも私たちの実力ですから仕方ありません。
去年も書いたとおり、今年はこれまでの男声・女声・混声というわけ方でなく、カテゴリーA(ルネサンス・バロック)、カテゴリーB(ロマン派)、カテゴリーC(近現代)というわけ方になりました。チェレステはもちろんルネバロで出場。

去年とちょっと印象が違うのは、カテゴリーで分けたせいか、非常に粒の揃ったレベルの高い演奏が多かったように感じたのです。私たちは朝2番目だったので、写真撮影まで終わったあと、カテゴリーAの残り二つから聞くことが出来ましたが、この2つが無茶苦茶うまい。これだけで、我々もダメだな、という気分になってしまいました。
特に、熊本から参加した LA NOVA VOCE は我々同様、11人という少人数団体ですが、一人一人の声楽的レベルの高さと、ハモリの精度の高さに脱帽しました。初出場ということですが、どんどんこんなうまい団体が出来ているんですね。
その昔、Niftyのパソコン通信で盛り上がっていた頃のメンバーが多数いて、知り合いも多かった大阪の Chor Meise ですが、こちらも初出場でしたけど、誠実な音楽作りと丁寧な表現で、多少のひいき目はあるにしてもとても共感しました。
それで、私的にはとてもとても感動したのが台湾から来た Taipei Male Choir。信じられないくらいうまいです。各パートの声の揃い、そして全体的に明るめなトーンでも統一、フレージングの細かなディナーミクまで一糸の乱れもなく、もちろんハーモニーも完璧。歌い手の一人一人が心を込めて歌っているのが見ているだけで伝わります。
さて、3つのカテゴリーで分けたのですが、結果的に最も出場団体が多くなったのが、カテゴリーCの近現代。こちらは、響きの美しい近年のモテットから、難易度の高いアクロバット系まで、いろんな演奏を聴くことができました。
チェコから来た Moravian Chamber Choir は、日本でもコンクールで時々演奏されるヤコブの息子たち(?)で笑いを取っていましたが、比較的わかりやすい曲を中心に演奏していました。リズムのキレが心地よく、音楽的レベルの高さを感じさせる演奏です。その他では、混声では、La MusicaEnsemble Vine が、やわらかい響きと確かな音楽作りで私のお気に入り。でもなぜか、La Musica は賞外だったようです。

翌日は、グランプリコンクールということで、昨日の団体の中から、5団体が選ばれて演奏しました。
これはもう、どこもうまい!こんな合唱団で歌えたらなあ、とほんとに思います。最後に演奏したなにわコラリアーズ室内アンサンブルは、聞いたことのないエンターテインメント系の曲を最後に披露。会場も大いに盛り上がりました。またまた、合唱におけるエンターテインメント性の重要さを認識。秋の合唱コンクールでは大人数のなにわコラリアーズも、20名で実に繊細な表現をみせ、室内合唱においてもその演奏精度の高さを見せつけました。いまや乗りに乗っている団体と言っていいでしょう。

というわけで、今回のコンクールの私の個人的な感想。
その1 10人前後の指揮者を置かないようなウチのようなタイプの団体は、もはや一人一人が声楽家レベルまで達していないと、この手のコンクールでは太刀打ちできない感じがします。これだけの少人数だと、声楽的素質がまずないことには十分な表現力を見せ付けることができないのです。なんか泣き言っぽいけど^^;。
これはよく言えば、一匹狼的な声楽家の人たちが、アンサンブルの面白さに気付き始めたということかも知れません。日本にも、キングスシンガーズとか、コンソートオブミュージックのような団体が現れるでしょうか?
その2 現代ものでは、オルバーン人気が圧倒的。ちょっと前衛気味の曲として、ラウタヴァーラ、マンチュヤルヴィ、シェーファーなどの曲が聞けたのも良かったです。ただし、私としてはこれらの音楽が、声楽の表現を拡張しようとして作られたものだとすればちょっと懐疑的。保守的かもしれないけど、合唱の前衛的な表現は、シリアス系よりむしろエンターテインメント性のある曲の中で使うべきです。それのほうが圧倒的に聴衆の反応が良いはず。またまた、合唱曲のあり方についていろいろ勉強になったコンクールでした。



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