不況ゆえのIT化(03/6/14)


最近、会社でもいろいろなものがオンライン化、電子化されてきているようです。皆さんのところの会社でもそうではないでしょうか。
例えば、社内のいろいろな手続きが電子書類化されたりとか、会議室の予約をオンライン化したりとか、社内の回覧物を減らしてイントラネット上の掲示で済ませるとか、といったような類です。
最近は、個人の予定表がオンラインで登録されて、会議に出て欲しい人の空いている時間を調べたりとか、会議案内を受けて出席の返事をすると勝手に自分の予定表に追加されたりするようなビジネスソフトもいろいろあります。そのうち、それがタイムカードの代わりにもなれば、会社全体の人事管理システムが出来上がることになります。そうなれば、今誰がどこにいてどんな仕事をやっているかということも把握できるようになるでしょう(もちろん、セキュリティ上の制限は付けることにはなるでしょうが)。

また、最近ノートパソコンを持ち歩く人も増えましたね。
紙で配ると、内容が新しくなるたびに差し替えたり、人によっては差し替えてなくて混乱が起きたりしますが、常に最新の書類がサーバ上にあれば、みんながそこをアクセスすればよくなります。そしてそれを見るためには、常にノートパソコンを持ち歩く必要が出てくるわけです。そのおかげで自然と無駄なプリントアウトが減って、紙の使用量が削減できますし、常に最新の情報共有が可能になります。当然、会議も最初に紙の資料を配るスタイルでなく、プロジェクタで画面を見ながら行うようなことが多くなってきます。

こういった流れは、もちろん業務の効率アップに繋がるわけですが、それだけでなく今まで事務処理に必要だった人的コストも削減できるという効果があります。
ペーパーレスなんて昔から言われていたことだけど、最近になって急にその流れが加速しているのは、今がまさに不況ゆえだからではないかと思うのです。
どの会社も利益を出したいわけですが、今の売り上げが伸びないのなら、事務処理にかかる固定的なコストを削減せざるを得ません。となると、書類の電子化、情報のオンライン化は格好の道具となります。一見カッコよさげに見えるこういった流れも、企業の切羽詰った台所事情があってこそ、普及しているように感じます。(このあたり「デフレ万歳!私的経済理論」で書いたことにも通じますね)

同じ話は、お役所にもいえます。
最近ちょっと耳にする電子政府構想なども、まさにこの流れの一つと言えるでしょう。ご存知の通り、地方自治体を含む行政機関はいずれも慢性的赤字状態。お役所なんて、基本的にはほとんどの仕事が事務処理と言えるわけで、上記のようなオンライン化が進めば相当のコストダウンになります。
電子政府のためのシステム開発は一部には3兆円の市場を生み出すなどと言われているようですが、まだまだその歩みは始まったばかり。何しろ、その基本となる住基ネットが一般市民の同意を広く受けているとは言いがたい現状があります(「住基ネットについて考えてみる」参照)。
これまで言われた住基ネットのメリットは、いまいち一般の人になじむものではないですが、上で言ったように国の財政のためとか、税金が安くなるとか、そういったことももっと積極的に言えばいいのに、と私は感じてしまいます。
電子政府が本当に実現すれば、例えば、市役所で出来る各種申請はほぼインターネットを通じて可能になりますし、確定申告などの行政サービスももっと簡略化するのではないでしょうか。選挙なんかも、あっという間に結果が出てしまいますね。

IT化、オンライン化は確かに利用者にとって便利になるし、またサービス提供側のコストも格段に下がりますが、もちろんそれに付随するセキュリティ問題のような悪い側面もあります。これを住みづらい世の中と思うかどうかは人によるでしょうけど、好むと好まざるとに関わらず、今の不況下、ますます世の中のIT化は進んでいくような気がします。



inserted by FC2 system