オケ付き2連チャン ヨハネ&モツレク(03/3/2)


2週連続でオケ付き合唱曲の本番がありました。私のそこそこ長い合唱生活の中でもちょっと記憶にない珍しいこと。
たいていオケ付き合唱曲となると、団のマネージも大変になるし、合唱団も長い時間かけて練習します。そして本番が近づくにつれ、オケとの合わせ練習が増え始め、だんだんと気分が高まっていきます。そういう状態で本番を迎えるので、出来はともかく心理的に達成感みたいなものを感じてしまうわけです。特に大学時代のそういった演奏会の記憶もあって、やはりオケ付き合唱曲というと、自分には大きな印象を残すものです。
しかし今回、団体が違うとはいえ2週連続となると、そういった自分の気持ちの高まりよりも、この2週間何とか疲れないようにうまくペース配分しようという気持ちがついつい起きてしまいます。ああ、こうやってスレた大人になっていくのかなあ。

先週は、浜松バッハ研究会のほぼ2年ぶりの自主公演で、バッハの大作「ヨハネ受難曲」を演奏しました。
全体で1時間半ほどの曲ですが、実際のところ合唱は歌ってばかりいるわけではありません。要するに合唱団が歌う曲はそれほど多くはないのですが、この練習に2年の月日をかけてきました。正直言うとちょっとダレかかった感じもありましたが、それでも相当練習して来たことは確かです。
ヨハネ受難曲の場合、2部の方はシンメトリな構造になっていて、中央のコラールを中心に同じ曲調というよりほとんど同じ曲が前後に配置されています(ただし歌詞違い)。実はこれが合唱団にとってはクセ者で、かなりアップテンポの歌いづらい曲などの場合、同じ主題で違う歌詞がつく二つの曲が混同してしまい、なかなか記憶に定着しません(うーん、私だけだったろうか?)。
もう一つ、ヨハネ受難曲でつらかったのは、意外と難しいコラールのベースの動き。かなりコラールの和音が凝っており、ベースの動きがこれまで歌ってきたバッハの曲からすると、難易度の高い方だと感じました。
ヨハネで最も印象的な曲は、と言われると、やはり冒頭の曲でしょうか。このペダル音をずっと保持するような和音の動きは、私の非常に好きなパターンです。こういった中で、やはりバッハの和音の展開の仕方、またその中に劇的なドラマを仕込む手腕は凄いものです。私には、クラシック音楽の中でもこれはとびきり現代的に響くような感じを受けました。
受難曲というと、どうしても曲のドラマ性のほうに目を向けてしまいますが、私的にはそういった微細なバッハの作曲技法を結構楽しんでいたように思います。(もっともバッハの音楽はあまりに完璧に一つの方向性で完成されており、その技法を真似ればどうしてもバッハにしかならなくなってしまうのです・・・)

さて、本日はアンサンブルムジーク主催によるモーツァルトのレクイエムの演奏会。
アンサンブルムジークは音大出身者による女声合唱団ですが、男性は本日の演奏会のため特別に集められたメンバー。はっきり言って、浜松でこれ以上はなかなかないというメンバーが勢ぞろいしたと思います。ちなみに、男声は「ヤマハ室内合唱団と仲間達」という、半分ギャグが入った(?)ネーミング。確かにヤマハのメンバーはほぼ全員参加しましたが、結局男声全体の半分なんですよね。
ヨハネと違い、逆にこちらのほうは、各人の経験度の高いモツレクということもあり、男声のみで数回音取りしただけで、あとは合わせを4,5回ほどしたところで本番。なんかプロみたい・・・と思わず感じてしまいます。
私自身もモツレクは6年ぶり4回目。歌う気がなくても、この曲だけはなぜか節目節目で歌う羽目になってしまうんですね。
さて、今回のモツレクの面白かったのは、指揮者の宮本さんのテンポ設定。これまで歌ってきた中では一番速めの設定(ただし、Hosannaのフーガだけは逆にすごく遅かった)。特に冒頭のRequiem, Kyrie, それから Confutatis が顕著でした。今回はジェスマイヤー版だし、オケも大きめだったし、古楽的というよりロマンティックに、という宮本さんの方向性を聞いていたので、ちょっと驚き。いまどきの演奏とかいろいろ聴いて研究したんでしょうか。しかし、全体的に軽快なテンポ感で、音楽の輪郭をクリアにするのにこの設定は良かったように思います。ロマンティックどころか、泣きはほとんど入りません。そういった曲への想いに関する指示はほとんどなかったのが興味深かった点です。(まあ、たいていはモツレクの持つ劇性を強調する方向に指示されることが多いので)
どうも指揮者の真の目的は、本番よりも打ち上げで合コンを行うことだったようなのですが^^;;;、なかなかのメンツということもあり、このメンバーでまたちょっとした演奏会が出来ると面白いなあ、と個人的には思っています。



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