佐藤典子舞踏研究会の公演(99/1/10)


以前にもこのHPにて話してありましたが、去年の9月ころ、ちょっとしたきっかけで佐藤典子舞踏研究所の主催するステージのバレエ曲の作曲を依頼されました。作曲といっても、本番は演奏者がいるわけでなく、私がテープに録音したものを会場でかけるというわけです。したがって、この作業はいつもの楽譜書き作業でなくて、テープ作りのためのシーケンスデータ作成作業となったわけです。
その佐藤典子舞踏研究会の公演が今日、アクトシティ大ホールでありました。
もともと、子供用のステージということで、私もタカをくくっていたわけですが、会場には恐るべき量の人、人、人。開演10分前に会場に到着してもなお、入り口から長蛇の列。そして、ご丁寧にも列の最後尾には列の最後を示すプラカードを持ったスタッフがいます。いきなり、この佐藤典子先生の率いるバレエ団の影響力に度肝を抜かれました。
私の作曲したステージは2ステージ目。全く予期せず2000人以上の人の目の前で私の曲が流れることになってしまったのでした。
あれだけの観客の前で、自分が家でヘッドフォンをしながら作った曲がかけられるのは何とも恐ろしいことです。そして、やはりその音楽に対しては非常に辛い評価にならざるを得ませんでした。もちろん、そこにいた観客の多くは出ている子供の親類縁者であり、バレエにとって二次的な要素である音楽に対してそれほどの注意を払ってはいなかったかもしれません。しかし、自分にとってはいろいろな反省が残る結果となりました。
というわけで反省その1。
テープ制作のノウハウが私に欠けている、という点。たとえば、商業音楽でCDを出す場合、必ず最後にミックスダウンという作業があります。これは、各楽器のバランスや定位、最終的なアンビエンスを調整するのですが、この際、種々のモニタースピーカーを使ってしっかりした作業が行われます。
私の家ではもちろんこのような立派な器材もないし、ノウハウもありません。結果的に自分が音響に関して感じたのは、リズムがやけに大きくなったこと、またバスドラに残響がかかりすぎ重たくなったこと、などでした。大ホールで鳴らすならそれなりのイコライジングの必要もあるでしょう。
反省その2として、打ち込み技術がまだまだないようです。というより、音楽的な表現を出すために十分な時間をかけれなかった。仕事柄、多くのミュージシャンのシーケンスデータを扱ったりします。彼らはその道のプロであり、本当に人が弾いたみたいにすごい打ち込みデータを作ってくるわけです。その点に関しては、自分にも甘えがあったんでしょうが、実際の打ち込み技術は全く奥が深い世界なのです。そして、そこまで本格化するならシーケンスソフトもバリバリに使いこなせなければいけません。
反省その3。ずばり音色です。ほとんどの音色は某GS音源のキャピタル音色を利用しており、全く細工していません。やはりプロならサンプラー等を使って、自分なりのライブラリを持っているものでしょうが、とてもとてもそこまでは出来ません。少なくとも、今持っている音源でもう少し使える音色を探しておくべきだったかも。ただ、一般的にはどうしてもシンセの音色は中域が盛り上がってもごもごした感じになるので、できればイコライザー付きの音源(ヤマハのMUのような)が欲しいかも。
と、いろいろ挙げてみたわけですが、所詮、打ち込みを職業にしているわけではないので、おのずと限界があります。だから、次からこのような仕事を引き受ける際には、もう少し慎重さが必要かもしれません。自分自身にとっても音楽に対してシビアな態度を忘れてはいけない、という意味で、今回はいい勉強になりました。
でも、またやってみたいなあ。


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