私流、合唱編曲法その2(99/4/11)


ポピュラー曲などのアカペラ合唱への編曲について、今回は編曲パターンの例を挙げてみたいと思います。編曲パターンとは、メロディ、和音、リズムをどのパートにどのようにアサインするか、というのを大まかに分類したものです。なお、各パターン名は私が適当に名づけたものですのでお間違いのないよう。

●ホモフォニックパターン
全く同じリズムで縦が揃っていて、4声で和音を作るパターン。もっともオーソドックスなパターンといえるでしょう。単純ゆえに、かえって避けられることも多いですが、合唱なのだから頻出するのは自然なことと考えます。ただし、メロディパート以外が、和音の構成音をただお経のように繰り返すだけ、というのはちょっと安易かも。内声部も、多少上下に動かしてやりたいものです。
●パートソロパターン
1パートがメロディを歌い、残りのパートがハミング、母音唱というようなパターン。バラード系の曲の冒頭部などに使いたいですね。この場合、メロディ以外のパート(バックコーラスととりあえず呼びましょうか)は、それほど動かなくても(2分音符や全音符でも)いいかもしれません。ただし、div.で分厚いバックコーラスにするよりは、密集和音的に処理するほうが私の好み。ソロパートは外声はさまになりやすいですが、内声は難しいかも。
●掛け合いパターン
一つのメロディを、2拍くらい遅れて別のパートが模倣するようなパターン。単発的なものは、編曲者のアイデア次第で中々効果的に使えるでしょう。一フレーズ全体を模倣しようとすると、ポリフォニーっぽくなってきますが、3声以上のポリフォニーだともうポピュラーの編曲には聞こえなくなる可能性があります。ですから、4つのパートを二つのグループに分け、片方のグループがもう片方のグループ(メロディパート含む)を模倣する、というのが無難なところでしょう。二つのグループというのは、男声女声、内声外声、低声高声、の3つが考えられます。
●口三味線パターン
パートソロパターンのうちの一つですが、バックコーラスがハミングとかでなく、bun, dun, lun などの音声で楽器音を真似るようなパターン。いわゆるポピュラー系のアカペラならおなじみなのですが、これを合唱でやる場合にはきわめて注意が必要ですし、私はもっと慎重に使うべきだと思っています。合唱というのはどうしても切れ味のあるリズムを出すのが難しいのです。8ビート風の曲ならまだしも、16ビート風ならやめたほうがよいです。よほどうまい人がいれば別ですけど。
●ユニゾンパターン
ユニゾンは最も単純かつ効果的なパターンです。単純ゆえに編曲者からは敬遠されやすいですが、私はもっともっと効果的に使われるべきだと思っています。ユニゾンにする個所は以下のような2点が考えられます。一つは曲の冒頭あるいは曲の終りで、段々に広がる感じあるいは段々に収束する感じを表わします。もう一つは、伝えたい大事な言葉に使用することです。曲の中で思わずどきっとするような言葉に使うと効果的かも。ユニゾンも全パートユニゾンか、2パートくらいのユニゾンか、1パートのみで歌うか、それぞれ少しずつ効果が違うことでしょう。
●合唱特有パターン
これは、特定のパターンのことではありません。せっかく合唱に編曲するのだから、合唱で良く使われることを適用してみたいものです。場合によっては、わざとクラシカルに処理することによって笑いをとることもできるかも。例えば交響曲ばりの派手なエンディングとか、バロック風のピカルディ終止(短調の曲の最後の主和音だけ長三和音にする)とか、いかにもクラシックというパターンを入れてみたりします。また、ごく単純にrit.するだけでも、いわゆるポップスにはrit.などまずないですから、注意をひくかもしれません。

今回はこんなところで....


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