上野の森コーラスパーク顛末記(01/9/10)


東京文化会館の主催による「上野の森コーラスパーク」という催しが、9月8、9日と二日間に渡って行われました。
今回、私はこの催しに思いがけず目一杯参加させていただくことになってしまいました。というのは、この催しの二つのイベントに出場することになったからです。
まず一つは、私が末席を汚す職場合唱団、YAMAHA Chamber Choirが、何故かこの催しに出席することになったこと。そして、もう一つは、この催しの一環として行われた作曲コンクールに私の作品(「草野心平の詩による四つの男声合唱曲」)が入賞して、演奏審査及び表彰式に参加することになったことです。

9月8日にはYAMAHA Chamber Choirの本番がありました。ヤマハの合唱団では、たまたま時間があるときに私の作った曲を歌ってもらっていたこともあり、今回20分くらいの枠だったので、合唱コンクールで歌うブストの曲だけでなく私の作品(「宮沢賢治の詩による三つの男声合唱曲」)も歌うことに。おかげで、東京で行われるイベントにも関わらず、奇しくも私の作品が2曲も演奏されるという嬉しいことになったのです。「宮沢賢治・・」のほうは、それほど難しい曲というわけではないのですが、なにせ少人数合唱団の悲しさでぎりぎりまでハーモニー合わせに終始してしまいました。まあ、本番は何とかこなしましたが、後でテープを聞くのがちょっと怖い気もします。
自分達の出演の後、大ホールで各団の演奏を聞きました。しかしまあ、出演団体の多彩なこと。エンターテインメント系から、ほのぼの系、こだわり系、コワイ物見たさ系^^;、など様々な合唱団が演奏しました。正直言って出演団体の方向性の幅が広すぎて、純粋に合唱音楽を楽しむというよりは、良い社会勉強をさせてもらったという感じです。

9月9日は作曲コンクールの審査がありました。
私的にはこちらのほうがメインのイベントでしたので^^;、大いに楽しませていただきました。
ちなみに、演奏審査に残ったのは私のほかに、今年の合唱コンクール課題曲の作者でもある伴剛一さん、そして同じく過去に合唱コンクール課題曲に選ばれた経歴を持つ松崎泰治さん、の二人。年齢もそれほど違わず、音大卒でもなく、合唱作品を中心に書いていて賞暦も似ているという同じような境遇の3人(お前と同じにするな、というお二人からの突っ込みは甘んじて受けます)が集まることになったのです。
演奏審査前に3人でスタッフルームで待っているときは、審査委員長である三善晃先生が挨拶に来られたりして、妙に緊張してしまいました。演奏審査の会場はこじんまりとした小ホール。演奏する松原混声の面々も舞台上では随分窮屈だったのではないでしょうか。そんな小さいホールにも関わらず、会場は全く埋まらずガラガラ状態。残念ながら作曲コンクールへの一般の人の興味の低さが伺われますね。それにしても3組曲を演奏した松原混声の皆さんには本当にご苦労様と言いたいです。確かに、聞いていて音取りが難しく厳しい部分もあったように推察しますが、それ以上に実際の合唱としてのサウンドを伝えるのには十分な演奏でした。

曲は本当に三者三様だったと思います。
私以外の二人は、谷川俊太郎による比較的ユーモラスな詩を選んでおり、この言葉の面白さをうまく合唱で表現していたように思います。松崎さんはアカペラ混声で、多声部処理の見事さ、和音の美しさに惹かれました。また、伴さんはピアノ伴奏つき女声合唱で、恥ずかしい言葉を女性に連呼させるというちょっとある意味サディスティックな曲なのですが^^;、松原混声の女声陣はそんなことにはひるみません。むしろ、その一つ一つの表現を丹念に歌うことにより、曲の仕掛けが見事に浮き上がってくる感じを受けました。
私はと言えば、男声合唱の硬派な世界を自分なりに表現してみたのですが、なんだか二人の作品のインパクトにはやはりかなわなかったように思います。
夕方に審査発表が行われました。壇上に上がって発表を聞くというのは、やはりドキドキします。
そして発表。最優秀賞は伴氏の作品がゲット。残念ながら、私は「入賞」ということに。
うーん、やっぱりダメだったか、と思うと同時に、率直に言えば悔しい気持ちも感じました。入選の知らせがあったのが2ヶ月前でしたから、随分長い間気を持たせられましたし。とはいえ、伴氏の曲の多彩な表現力にはやはり敬服します。
退場するとき、たまたま私と松崎さんの隣に立った三善先生が一言。
「お二人の曲も素晴らしかったですよ」
ああ、三善先生にそんなに気を遣って頂くなんて、なんて恐れ多いことでしょう!大丈夫です。私は簡単に立ち直って、またいくらでも曲は書きますので・・・

ということで、体力的にも精神的にも実に疲れた二日間でした。審査員の直筆のサインがある賞状は、自分の部屋に華々しく飾っておこうと思います。


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