浜松世界青少年合唱祭'01(01/7/30)


5年おきに開催されるこの世界青少年合唱祭が先週末浜松アクトシティにて行われました。第2回のときは(この談話の一番下を参照)ほとんど全てのイベントを見に行ったのですが、今回はメインコンサートのみ聞きに行きました。
メインコンサートといっても、朝10時から夕方6時近くまで各団体30分弱のステージが続くわけで、結局全ステージ見たのですが、途中かなりの時間意識を失っていました。^^; 曲目も、純粋な合唱曲がそれほど多くなく(というより、良く知られた曲が多くなく)、民謡アレンジ物とか、現地の小合唱曲とかで、今ひとつ集中力を喚起できない曲が多かったのは事実。そういう意味では、純粋リスナーとしては相当マニアックな層しか満足できないのかもしれません。
それにしても、世界中の合唱団が集まっているわけで、やはりいろいろなタイプの合唱があり、その差はとても興味深いものです。外国から参加の合唱団のどれもが高い実力を持っているというわけでもないのですが、いくつかは素晴らしい音色とハーモニーを持っていましたし、日本人とは響きやハモリの感度がやっぱり全然違うんだな、とあらためて感じてしまいました。
特に、ラトビアの合唱団、パラサイトの音色は非常に美しく、合唱王国であるラトビアの実力をみせつけられました。無理なく、ストレートなのに、非常に明るく直接的な音なのです。フォークソングが中心でしたが、できれば良く知られたアカペラ合唱曲を歌って欲しかったです。
日本からは、浜松のいくつかの児童、高校の合唱団が参加していましたが、それは置いといて^^;、浜松以外から岡崎高校コーラス部が参加していました。ご存知のとおり全国大会の常連高ですが、私は直接聞いたのは初めて。高校生らしからぬ、太くて明るい声を出すのですね。どの曲も非常に楽しめました(ただ、いまさらモツレクはないよなあ、とは思ってましたけど・・・きっと、他の公演との都合があったのでしょう)。しかし、日本人だとあれだけの人数がいないと外国の合唱団とは対抗できないのかなあ...

全体的にいまいちな感じを持ちつつ、演奏はついに最後の団体、ベルギーのスカラに。ところが、最後の最後にして実に面白いステージを楽しむことが出来ました。
この合唱団はやはり女声合唱団なのですが、指揮者と伴奏者が男性でそれも兄弟。二人ともまだかなり年齢が若く、それだけに合唱団という枠にとらわれないはじけた個性を持っていた団体でした。まず、最初に驚いたのは、指揮者も伴奏者もそして合唱団も全員裸足だったこと。何の意味があるかはわからないけど、少なくともフォーマルな合唱からは程遠いイメージです。
そして、最初の曲がゴスペル。実にノリのいい、ポップス的なリズム感を感じましたし、張りのある声も迫力がありました。ところがその後はバリバリの現代曲がいくつか続きます。しかし、全く不思議なことに、ゴスペルでの躍動感を全く損なうことなく、そういった現代曲も扱っているのです。指揮というよりほとんど踊りに近いこの指揮者の不思議な音楽センスが、ポップスから現代音楽までシームレスに扱うことのできる全く新しいタイプの合唱を生んでいるのが感じられます。確かに、彼らが選んだ現代音楽もどちらかというとシリアスなものでなく、むしろコミカルな曲でありました。
彼らが最後にやったのは三善晃の阿波踊り。伴奏者も完璧なリズムでピアノを弾きこなし、圧倒的なリズム感で畳み掛けるこの演奏、もしかしたら日本のどこの団体よりもうまく歌えているかもしれません。

最後はお決まりのフィナーレへ。感動的ではあったものの、やっぱり一番楽しかったのは参加した合唱団の人たちでしょう。
しかし、自分が普段聞けないものを聞けることはとても刺激になりますし、5年に一回でもこういった催しが浜松で行われるのはやはりとても嬉しいことですね。


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