私流、合唱編曲法その1(99/3/30)


ポピュラー曲などを合唱に編曲することがたまにあります。こういったことは昔からよくやっていたので自分なりに思うところがありますが、このあたりのことを今日はちょっと書いてみます。
合唱編曲といっても、私の場合ほとんどがアカペラです。ピアノ伴奏の場合とアカペラの場合ははっきりいってかなり異なります。ピアノ伴奏の場合、伴奏だけでほとんど曲の骨格は出来てしまいますから、合唱の処理にはそれほど困りません。むしろ、効果的なピアノ伴奏を付けることに腐心することになります。これはこれで奥深いのですが、今回はアカペラに限って話を進めてみることにします。

●音域と調性
まずは元の曲を一通り聴いて、楽器で旋律をなぞってみます。これで原曲の音域をまず確認します。音域といっても、最高音と最低音をチェックするだけでなくて、旋律が最も良く動いている個所をチェックしておくのがポイントでしょう。最近の曲は歌唱力重視型のものが多く(一頃のアイドルものと違って)、やけに音域が広い曲が多いように感じますね。
さて、ある程度の音域を調べたら、編曲する曲の調を決めます。サビの部分を、ソプラノ(要するに一番上のパート)の最も鳴る部分に合わせる、というのが私の場合の王道です。サビのメロディが最上声部にこない場合というのは、よほど何らかの意図がない限りはしないでしょう。また、調性が#系とかb系とかいうのは、私の場合ほとんどこだわっていませんが、調号が多くなるのを嫌う人もいるので、あんまり変な調にはしないのが無難かもしれません。(#やbは4つくらいまで)
音域が広い曲の場合、サビをソプラノにすると、それ以外の旋律がソプラノでは低すぎることが起きます。この場合はいろんな編曲パターンを使って、なんとか旋律が浮き出る工夫をする必要があります。
●なるべく簡単に、が基本
世の中難しい編曲がよくありますが、本当によい編曲とは、簡単に歌えて効果が高いことだと私は思います。従って不用意に難しくしないこと。これが大事です。まず、原曲の複雑なシンコペーションを取り、アンサンブルしやすいリズムに変更します。それから、ディビジョンはできる限りしません。
ただし、簡単=音が少ない、ではありません。各パートの動きやすさが大事です。例えば2分音符のハミングが延々続くのは、簡単というより安易なのであり、歌う側にとっても好まれるものではないでしょう。(もちろんケースバイケースですけど)
あと、減5度、減3度(結果的には全音なんですが)などの音程は音取りがきついのでなるべく避けたいところですね。
●原曲に忠実である必要はない
アカペラですから、原曲のビート感が忠実に再現できるわけがないのです。まず、それを肝に銘じ、リズムパターンなどをそのまま翻訳しないようにしたいものです。 また、オブリガードやイントロなどもそれほど印象的でなければ省くし、逆にその曲を特徴付けるものであれば、大胆にデフォルメして使います。
ベースパターンは原曲のベース音をなぞるだけではつまらなくなりがちです。場合によってはベースが根音でなくて別の音を使うように工夫します。第5音は良好ですが、第3音だと違う響きになることがあるので注意。こうすれば、ベースもメロディックになってくると思いますがいかがでしょう。(もちろん、原曲のベース音を感じさせたいという意図があれば別ですが)

まだまだネタはありますが(編曲パターンの紹介など)、続きはまたいつかということで。


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